谷寫真館の歴史
谷寫真館の歴史谷写真館

連隊を撮り続けた写真館
現在の敦賀市桜ヶ丘町一帯に置かれた陸軍歩兵第19連隊。その正面前で1900年に看板を掲げ、営業を続けている「坂田写真舘(谷寫真館)」の谷繁さんは何度も目にした出兵の光景が忘れられない。
「戦局が悪化したからか、44年ごろが一番多かった。どういう訳かいつも夜で、兵隊さんは敦賀駅や敦賀港まで歩いていくんですね。暗くてうちの2階から撮影用の大きな照明2台で照らしました。宿がとれなかった見送りの家族を泊めた事もありました」という。
第19連隊は日清戦争後、対露戦に備えた陸軍の軍備拡張で1898年に設置。1940年には歩兵第119連隊も置かれ、合わせて「敦賀連隊」と総称。嶺南と岐阜、滋賀両県の兵士が入営した。
坂田写真舘(谷寫真館)は陸軍御用達として敷地内の入構に必要な木製の「門鑑」を交付され、閲兵式や桜が満開になる4月上旬に周辺住民も立ち入りが許可された軍旗祭などの記念行事、家族と兵士の記念写真、出征前の兵士が家族に残す「遺影」の撮影を手がけた。
「酒保」と呼ばれた連隊内の売店で主に撮影。出征前には大勢が詰めかけ、谷さんもガラス製乾板を持ち、店との間を何度も往復。時には兵士の家族から預かったぼたもちも運んだ。
谷写真館
(福井新聞記事より抜粋)